テレルヴォ・カルレイネンとオリヴァー・コフタ=カルレイネンの2人は、これまで世界の8つの都市で『不平の合唱団』プロジェクトを行った。各地で住人の不満の声を集め、音楽にするという作業は、ネガティブなエネルギーをポジティブに変換し、共有することへとつながるという考えから制作をスタートした。
不平をつづった歌詞を歌い、そのパフォーマンスを収録した映像作品は笑いを誘う。笑えると同時に、その実情に潜む問題のことを考えさせてもくれる。例えば、各地で共通して、公共交通についての不満が出ていた。エスカレーターの整列がなっていないとか、自分は急いでいるのに前を歩く人の速度が遅いとか。そうした軽いエゴはいいとしても、アメリカでは、死んだ祖母の名前が選挙の投票に使用されて、存在しないはずの一票が候補者に投じられるような選挙の腐敗を語る人もいたという。結構ディープだ。
森美術館での展示では、最新作の東京版のみではなく、バーミンガムやシンガポールなど、各地の映像が同時に上映されている。「不平」という題材だからこそ、そこにははっきりと国民性の差異や人々に共通する感覚が映しだされている。
中島良平
http://www.mori.art.museum/(森美術館公式サイト)
http://www.complaintschoir.org/(『不平の合唱団』公式サイト)