建国以来、世界中から移民を惹きつけることで、アメリカという国は急速にそのかたちをつくってきた。現在も、毎年他の国への移住者の総数に相当するほどの移民を、この国は受け入れている。このビデオの主人公のフレディやその兄弟、それから私自身も移民だ。
フレディの故郷、エルサルバドルは中米で最も小さい国だ。国民の平均年収は35万円程度。国内では産業が育たず、海外移住者からの送金が収入の最も大きな割合を占めているのが現状だ。1980年から1992年まで12年間続いた内戦の影響もまだ残っている。激しい戦闘で国は破壊され、人々は分断された。ようやく情勢が落ち着き、新しい国づくりが始まっているが、問題は山積みだ。
フレディと一緒に仕事をした3年間、仕事の合間やランチタイムに、エルサルバドルのこのような状況を少しずつ聞き及んだ。幼少期の内戦体験や、アメリカへ移住したときの旅などについてのさまざまなエピソードは、同じ移民でも学生として日本から来た私には衝撃的だった。
フレディは、いつも誰よりも早く仕事の現場に入る。皆がきつい状況ではラテン系の明るさでジョークを飛ばす。毎日を必死に生きなければ生き残れないという状況で育ったフレディは、人間として成熟している。背景の違う人々に混じって暮らすことで、「豊かさ」とはなにかをあらためて考えさせられる。
三宅大介
Crosswater Media (Berkeley, California)
“Crossing the SF Bay” (Bilingual Web Magazine)