流浪の吟遊詩人達が三味線に似た弦楽器サズなどを即興的に弾きながら、日常生活を飾らない言葉で歌い綴ったトルコの民謡。日本では民謡がヒットチャートに入ることはないが、トルコでは今も時折、ポップ歌手が民謡を取り上げ、チャートインを果たすことがある。トルコでは今も民謡が生きているのだ。20世紀最大の吟遊詩人アシュク・ヴェイセルの歌「uzun ince bir yolday」は今もロックやポップ歌手達に取り上げられ、広く歌い継がれている。
トルコ民謡の歴史はトルコ人がイスラム化する遥か以前、現在のアナトリア半島に移住する以前、中央アジアで遊牧民だった時代まで遡るという。モンゴルや韓国の民謡、日本の民謡や長唄との共通性も研究されている。
イスタンブールの新市街の路地裏を歩いていると民謡酒場Turku Evi(民謡の家)を幾つも見つけることが出来る。日本の演歌歌手と似たギンギラのファッションでキメたオッチャンやケバイお姉さんのポスターがいくつもベタベタと貼ってある店を見つけたらそこが民謡酒場。人気の歌手が出演する店では毎夜、地元の老若男女が集、民謡を歌い、伝統的なダンスを踊り、沖縄の民謡酒場そっくりの盛り上がりをみせる。イスタンブールの民謡酒場で二年間アルバイトをした経験を描いた山口大学教育学部准教授 斎藤完氏の著作「飲めや歌えやイスタンブール トルコの酒場で音楽修行」(音楽之友社)は日本語で読めるトルコ民謡研究の貴重な一次資料だ。
松田正臣
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