ラージャスターンとは「王の国」という意味。中世に中央アジアからこの地域に進入した部族がヒンドゥー文化と混血を重ねるうちにラージプートという独自の武家社会が生まれ、各地にそれぞれがいわゆるマハラジャ(マハーラージャ)の国、藩王国を作りあげた。後にイスラーム勢力が進入した時もラージプート諸国は統一されることなく、完全に統一されたのは1947年のインド独立時だ。
音楽家達は土地のマハーラージャ達の庇護を受け、宮廷や冠婚葬祭の場や戦場において、過去の英雄叙事詩やイスラームやヒンドゥーの讃歌、コミュニティーのゴシップやパトロンのほめ歌、民謡などを歌い続けてきた。そのため民謡や砂漠の旅芸人の音楽に北インド宮廷音楽や西アジアからのイスラーム神秘主義音楽までが渾然一体となり、古典の洗練と大道芸のエンタテインメント性が両立している。
使われる楽器もバラエティに富んでいる。両面太鼓のドーラク、多くの共鳴弦を持ち強烈な倍音変化を起こす箱形チェロのサーランギ、手こぎ小型オルガンのハルモニウム、太鼓の皮に弦を張り弾く一弦楽器バパング、口琴モールチャング、手足に括り付け踊りながら打ち鳴らす小型シンバルのマンジーラ、丸胴のチェロであるカマーイチャー、木製カスタネットのカルタール、蛇遣いの笛プーンギ、そして今回紹介したブラスバンドまで、とても一地方の物とは思えないほど多彩で充実している。
ラージャスターンには今も無数のブラスバンドが存在し、地域の冠婚葬祭の場を舞台に民謡やボリウッド映画の主題歌などを演奏している。ハネムーンでラージャスターンを訪れる方は楽団丸ごとチャーターしてみては?
ジャイプールカワブラスバンド