アーティスト Mario Garcia Torres  "Unspoken Dailies" 記憶と理解を巡る66分間
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1975年にメキシコで生まれ、第5回ベニス・ビエンナーレ(2007)や横浜トリエンナーレ 2008など国際展への参加でも注目を集めるマリオ・ガルシア・トレス。タカ・イシイギャラリーで行われた新作展では、映像とテキストの不安定な関係を作品で表現した。
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コンセプチュアル・アートの過去の試みを再検討すること―。概念的な側面も強く、マリオ・ガルシア・トレスが行おうとしている表現の理解を目指すと、難解な印象はもちろんある。だが、作品を前にして“理解”という理性の行為だけを意識するのではなく、そのインスタレーションを“体験”することを目指すと、意外とすんなり身体と感覚で反応することができる。それはおそらく、『UNSPOKEN DAILIES』展に出品された新作の“物質性”によるものだろう。映写機でフィルムを回転する音からは、確かにデータとは異なる映画の物質性を感じることができるし、また、そのざらざらした画面に展開する光と影の動きは、そこに流れる時間や空気の流れをリアルに感じさせてくれる。コンセプチュアル・アートという方法論で“概念”の視覚化を行ううえで、その“概念”を“理解”させるのみではなく、身体による作品体験を導き出せる強さも持ち合わせるか否かが、彼の作品制作の鍵を握っているのだ。現在、コンセプチュアル・アートに改めて命を吹き込むために、アナログな感覚で知覚できる“物質性”の強さに着目したアーティストの、直感力も見せつけてくれる作品構成だった。

 

中島良平

タカ・イシイギャラリー公式サイト

 

 

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